隠居生活

限界勤め人だった著者の隠居生活を綴ります

メモ

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「時は永遠に生きる者にはすべてを教えてくれるが、残念ながら私は永遠には生きられない。それでも神から与えられた範囲で、私は忍耐という能力を発揮しなければならない。なぜならば、自然はすぐには答えを出してくれないからだ。

 

私は今、不必要な知識や無意味な経験という障害に邪魔されずに、自分の旅を始めるのだ。自然はすでに私に、森にいるどんな動物よりもずっとすぐれた知識や本能を与えている。それに、いかにも賢そうにうなずきながら愚かなことを話す老人の経験は、過大評価されている。それらはさほど重要ではないのだ。確かに、経験は我々に多くのことを教えてくれるが、その教え方は人生の重要な時間を無駄に食い尽くしてしまう。

 

ゆえに、その特別な知恵を学ぶために必要な時間の長さを考えると、経験による教えはそれほど価値があるとはいえない。死を目前にしてわかっても、それは無駄になるだけだ。さらに経験による知識とは流行に似ている。今日、成功した行動も、明日にはもはやうまく働かず、役に立たないだろう。

 

私は他の者たちのように失敗はしない。なぜならば、私の手の中には海図があるからだ。その海図が昨日までただの夢だと思われていた陸地へと、危険な海を乗り越えて導いてくれるのだ」

 

何年か前のノートに書いてあったメモ。出典は忘れた。たしか『地上最強の商人』だったような気がする。