隠居生活

限界勤め人だった著者の隠居生活を綴ります

21世紀ゴールドラッシュの勝者は誰か

野口悠紀雄「データ資本主義 21世紀ゴールドラッシュの勝者は誰か」を読みました。2019年9月に出た書籍です。

 

「①プラットフォーム企業(GAFAやBAT)が持つビッグデータの価値」「②特殊な国家構造がビッグデータ活用(AIテック)の追い風となり、中国がAI覇権を取る公算が大きいこと」についてざっくりと理解できました。

 

①について

ビッグデータ(情報)の価値の試算)

まず、伝統的な財務計算では、ROA総資産利益率)の分母となる「資産」にビッグデータ(情報)の価値(B)が含まれていない点に着目します。

そこで、「仮にBを含めた総資産に対して伝統企業のROA=3%を採用した場合、Bは通常の資産(K)に対してどの程度か」計算してみるというもの。

結果は、B=2~3Kということでした。

3%という仮定が妥当かどうかについては議論の余地が大いにありますが、プラットフォーマーの有する実質的な総資産のうち半分以上をビッグデータ(B)が占めるという試算は大変興味深いものでした。

 

②について

中国政府は、AIを将来の最優先技術に指定し、2017年7月に「新世代のAI開発計画」を発表。そのなかで「中国は、2030年までにAIで世界をリードする」という目標を設定しているそうです。つまり、資金とデータの両面で政府が企業を援助するというわけです。

データの量(人口)もさることながら、他国と異なりビッグデータの収集に関して社会的な制約がない(あるいは極端に制約が小さい)ことから、他国にできないことが中国にはできてしまう。このことが、中国AIテックが世界最強となる本質的理由であるとされています。きっと、その通りなんでしょう……。米中貿易戦争の背景にはこうしたAI覇権争いがあるということを今更ながら理解しました。

 

同じ著者の「デジタルゴールド(ビットコイン)」もおもしろかったですが、今回読んだ「データ資本主義」も期待を裏切らずおもしろかったです。

 

結論: CXSE(とQQQ)を買おう。