隠居生活

限界勤め人だった著者の隠居生活を綴ります

「みと号」のなかで2023.11.25

東京から水戸に向かっている

 

八重洲南口の4番乗り場から「みと号」に乗った

 

終点の水戸駅に向けて、約2時間の高速バスの旅である

 

ICカード利用で片道2,100円

 

初めて利用する某バス会社

 

驚いたのは乗務員2名の体制であること

 

一定の安心感を覚えると同時に、過去に起こした事故の再発防止策の一環であろうことや、働き方的にどうなん?(2人要るか?いや、逆に1人に押しつけない感じが今どきっぽい感じもするし、健全だ。というか自動運転はよ)など考え始めて、複雑な気持ちになる

 

運転手の後ろに、運転手よりも高齢で、いかにも「再雇用」といった感じの乗務員が腰掛け、運転手に対して時折声掛けをしている。

 

「停まってからで」

 

「もう少し進んで。4車線になったら」

 

「この先渋滞しているからまだ車線変更しないで」

 

運転手の後ろに腰掛けた乗務員(「検査官」と呼ぼう)の声色はけっこうキツめだ。いや、「キツめ」というより、はっきりとキツいな……

 

こりゃたまらんなぁー、と思った

 

運転手は自身の判断に都度口を出され、文字どおり右往左往して車体が揺れる

 

運転手の感情を想像して、憂うつな気分になる

 

中肉中背で白髪が多い運転手の年の頃は……40代中盤から後半といったところだろう。声の調子や、肌つや、目の濁り具合などから推測するに、おそらくまだ50代ではないと思う

 

とても丁寧な方で、発車前の、乗客への安全運転宣言の際の喋り方に、好感を持つとともに安心感を覚えた

 

優しそうな人だ

 

優しそうで、誠実そうで、失礼ではあるけれど傍から見るにいかにもうだつのあがらなさそうな人だ

 

あるいは、中途であまり運転手としての経験は長くないのかもしれない

 

おどおどした感じが伝わってくる

 

かといって繊細な人物という感じでもない

 

繊細かどうかは別にして、ストレスにはとても弱そうだ

 

その白髪の多さは、あるいは不摂生によるものであり遺伝の影響も大きいのかもしれないが、日々受ける/受けてきたストレスの大きさを物語っているように思う

 

(一面に広がる、稲が刈り取られた後の田んぼの風景。電力会社の鉄塔。いかにも郊外っぽさが感じられる大規模な製造工場(meiji)。もうすぐで牛久に着く。広い道路に、澄みわたった広い空。こういうのは本当にいつぶりだろう、なんだか心がとても安らぐ。)

 

この某バス会社の乗務員の平均年収は、ザッと調べたあたり450万円~500万円といったところだろう

 

低すぎはしないけど決して高くもない

 

 

 

ここまで書いて、結局は、自分自身の現状を正当化したいだけのように思えてきた

 

相対化して、まだ自分の仕事は、働き方は、もっというと人生は、マシなのだと、

自分に言い聞かせたいだけのような気がしてきた

 

旧友との今回の旅、もっといえば旧友との付き合いそのものも、こうした自己正当化の様相を帯びていると言えなくない

 

自分はなんだかんだ言っても、まだマシな方なんだ、選ばれる側なんだと、もうそういう時期は終わったにもかかわらず、思いたくてしょうがないのだろう。不安でしょうがないのだろう

 

上を見ても下を見てもキリがなくて、そのドツボにはまれば、それは無間地獄

 

もうそろそろ、そういうのから解き放たれてもいいような気がしている

 

ミドサーにして、そして「なんちゃってFI(親への仕送り分を支出に含めるとまだFIとは言えない)」を前にして改めておもう

 

考えることをやめよう

 

朝は控えめにヨーグルトとバナナだけだった。バス乗場まで死ぬ気で走ったこともあって、とてもお腹がすいてきた

 

少なからず今日を楽しみにしてきたし、水戸に着いて友人と合流した後には名物?のすたみならーめんが待っている

 

一喜一憂があっていいじゃないか

 

不安で眠剤を飲まなければ眠れない夜もあれば、安心して眠りにつける穏やかで幸福な夜もたしかにある

 

人生という旅を楽しむというか、苦労(できることなら「ほどよい」苦労がいい)と、たしかにある心地よさだとか快さを味わいながら、前へ前へと進んでいく

 

必ず訪れる人生の終着点に向かって、好むと好まざるとにかかわらず、進んでいくしかない

 

茨城県庁前に到着した

 

水戸駅はこの先だ

 

渋滞による遅れもあったが、あっという間だった

 

スマホにどっぷり浸かってブログを更新するのではなく、もう少し道中の景色に目を向ければよかったかもしれない。そうは言っても書かずにはいられなかったし、書けてよかったと思う

 

今回の旅は終の住処探しを兼ねている

 

肌寒くはあるけれど、今日は本当に素晴らしい天気です

 

美しくてどこか懐かしい感じのする街に、優しい太陽の光が降り注いでいる

 

茨城を巡る冒険、スタートです